良い税理士の探し方・見つけ方(総論)

税理士探しは意外と難しい?

財務省のデータによると、税理士が関与している会社の割合は「約90%」というデータがあります。データの母数に、(税理士の関与が事実上不要な)休眠会社も含まれていることを勘案すると、ほとんどすべての会社が何らかの形で税理士へ依頼しているのではないでしょうか。

税理士関与割合(出所:財務省 国税庁実績評価書 160頁)

年度2018年度2019年度2020年度2021年度2022年度
所得税20.3%20.6%21.1%21.0%20.4%
法人税89.1%89.3%89.4%89.5%89.5%

このような現状のもと、中小企業の経営者が新たに税理士を探す方法としては、以下1~3のいずれかになることが基本です。

  1. 知り合いの経営者仲間から税理士を紹介してもらう
  2. Webで検索して見つける
  3. 税理士紹介事業をやっている会社を利用する

方法としては「1.知り合いの経営者仲間から税理士を紹介してもらう」がお勧めです。(次点で「Webで検索」ですが、その理由は別記事で解説します)

ただし、「知り合いと同じ税理士に頼むのは嫌だ」「経営者が依頼している税理士の評判が良くない」「そもそも知り合いの経営者がいない」など、紹介に頼れないケースも意外に多いと考えられます。

税理士業界はレモン市場

一方、税理士業界はこのレモン市場の定義に当てはまると筆者は考えています。

レモン市場とは、売り手(税理士・会計事務所)と買い手(会社側)にサービスの品質や価値に関する情報格差が存在することを言います。
原因は:

  • サービスの専門性が高く、会社側はその良し悪しを判断しづらい
  • 契約を結ぶまで具体的なサービスを受けられない(事前に把握可能なのは料金体系くらい)
  • 契約を結んでも、基本的に1社につき1つの税理士事務所との取引になるため、サービスの比較がしづらい(仮に品質が低い事務所に当たっても他社と比較できないので「そんなものか」と思ってしまう傾向)

・・・などが挙げられます。
企業からすれば「税理士の成果物は確定申告書で、どこに頼んでも一緒でしょ」と思われることありますが、売り手側(=税理士・会計事務所)からすると「コスパ」・「スキル」・「サービス」の面で結構なバラつきがある、というのが正直な認識です。

開業して5年目までなら必読!税理士の見つけ方

開業10年ぐらいの時間がたてば、それまでの経験から、税理士の良し悪しの見極めもできるようになると思います。
一方で、起業・開業して間もない、あるいは、数年くらいの経営者が、最初から税理士業界に精通していること稀です。

筆者としては、売り手(税理士・会計事務所)と買い手(会社側)の情報格差を少しでも小さくすることで、高品質の会計事務所が正当な評価を得られるようにしたいという思いがあります(ちなみにこのような情報格差が小さい業界を経済学の用語で「ピーチ市場」といいます。)
そこで、当サイトでは、いくつかの記事に分けて、良い税理士の見つけ方を知るためのポイントを解説していきます。

(順次公開予定)
コスパの良い税理士を見つける方法_料金引き下げのコツ
コスパの良い税理士を見つける方法_会計事務所側の事情
スキルの高い税理士の探し方

あまり語られることのない、会計事務所側の内情も踏まえた内容にしておりますので、これから税理士を探そうと考えている経営者にとって参考になる内容になっていると思います。