法人成りすると消費税が免除になる?解説してみた
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3年目の壁
法人が支払う税金を大雑把に分類すると、「利益に課される法人税」と、「売上に応じて課される消費税」に分かれます。
前者に関しては、本Webサイトに記載しているような様々な節税対策の余地があり、対策は比較的容易ですが、後者の「売上に応じて課される消費税」は、やや対策の余地が少ないのが実情です。
筆者の経験として、一般的な中小企業(マイクロ法人を含む)は、法人税よりも、消費税の方が納税負担感は重くなりがちな傾向にあります。
この消費税ですが、納税義務が発生するのは「設立後3年目から」という会社が大半(※インボイス制度開始前では)ですので、消費税の納税負担が発生するタイミングを指して、法人経営の「3年目の壁」と表現されることもあるようです。
消費税の納税義務が発生する仕組み
消費税の納税義務はすべての会社にあるわけではありません。どんな会社に納税義務があるかというと、枝葉を省略していえば「2年前の売上が1,000万円を超えている」場合です。
「売上1,000万円を超えたら即座に消費税を納める必要がある」と勘違いされる経営者が時折いらっしゃいますが、これは正確ではありません。
あくまで「2年前の売上が1000万か否か」が判断基準であるので、極端な例として「今年の売上が10億円」であったとしても、2年前の売上が1,000万円未満であれば、消費税の納税義務は免除されます。
※他にも免除のための条件が複数あるので、それもクリアしている場合に限ります。これら諸条件は非常に複雑ですので、ここでは割愛します。
マイクロ法人を設立した最初の2年は消費税が免税のチャンス
前述の通り、消費税の義務が発生するのは「2年前の売上が1,000万円を超えている」という条件を満たすときです。
つまり、法人設立して最初の2年は「2年前の売上がない(というか法人自体が存在していない)」ことになりますので、消費税を納める必要がありません。
個人事業主でも開業して数年たつと、継続して売上が1000万円を超え、消費税の納税義務が発生しているケースも多いと思います。そのような場合でも、法人成りすることで最初の2年は再び消費税の免除の恩恵を受けられることになります。(個人と法人は別々に「2年前」を判定されます)
消費税免除を受けたい場合の注意点
資本金は1,000万円未満にする
資本金1,000万円以上の会社は、例え「2年前の売上が1,000万円未満」であっても消費税の納税義務が発生します。(設立1期目であっても発生します)。もし、消費税の免除の恩恵を受けたい場合、資本金は1,000万円未満で設立すべきでしょう。
インボイス登録には注意
インボイス登録を行っている場合、必ず消費税の納税義務が発生します。自社の事業がインボイス登録を行う必要があるか否かをよく検討し、登録しなくても支障がないのであれば、消費税免除の恩恵を受けるためにあえて登録しないという選択肢もあり得ます。
最初の半年で売上1,000万円を超えた場合
該当する会社はそれほど多くないですが、期が始まった最初の6か月で「売上1,000万円」かつ「給与支払額1000万円」を超えると、翌年度から消費税の納税義務が発生してしまいます。最初の6か月で「売上1,000万円」は達成できそうだが翌年も納税義務の免除の恩恵を受けたい場合は、同期間の給与支払額を1,000万円以内に抑える調整をするとよいです。