法人で認められる経費は?

個人事業主より法人は経費の範囲が広い?

個人事業主に比べて、法人の方が、経費として許容される範囲が広いといわれることが多いです。これは、個人事業主と法人それぞれの経費について定義した条文の違いに着目したことが由来のようです。

【個人事業 必要経費】

(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

所得税法37条 必要経費

(1)当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額

(2) 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(…以降、長いので筆者略)

法人税法22条3項 損金の額 1号2号抜粋

上記を読むだけでは明確には分かりにくいですが、個人事業主の経費について定めた所得税37条では「収入を得るために直接要した費用」という文言があり、この記載が法人税法では無いため、「法人の方が経費の範囲が広い」と言われることがあるようです。

具体例

もう少し具体的な例をあげて、どういうことか解説します。例えば、「試験的に開始し、まだ売上が上がっていない事業」について考えてみます。

具体例1

(個人事業主の場合)
もし個人事業主が、収入がまだ計上されていない事業を始め、それに関して広告宣伝費や業務委託などを支出したとします。こういった経費は、税法に定める「収入を得るために直接要した費用」といえるのでしょうか?疑問視されても不思議ではないでしょう。

(法人の場合)
一方、法人であれば、そもそも経費に「収入を得るために直接要した費用」という定義が無いので、同様の事例でも疑問視される可能性は低くなるでしょう。そもそも、スタートアップなどは、設立後しばらくは「売上がゼロ」が続くこともザラにあると思いますので、初期フェーズで支出した費用が経費に認められないなんてことになると誰も新しいことを始めなくなります。

具体例2

違った視点から、もう少し典型的な例をあげると、「車両に関する経費」なども挙げられます。

(個人事業主の場合)
個人事業主でも業務で車を使用すれば、業務使用分は按分して経費計上できます。できますが、経費計上できるのは、あくまで業務に関して使用した部分のみです。
(法人の場合)
法人の場合は、名義が法人であれば原則としては車両本体の減価償却はもちろん、車検代や自動車税、ガソリン代も法人経費になります。※ただし、たとえ法人名義の社有車でも、実態としてプライベートで使用している部分が多ければ、その部分は経費から除外すべきではありますので留意して下さい。

結論

上記以外にも、「出張日当」や「退職金」など法人にのみ認められるものも多くあり、「法人の方が経費の範囲が広い」というのは真実であると思います。※「出張日当」や「退職金」については別記事で詳しく解説しているので、そちらも参考にしていただけると幸いです。

一方で、「法人であれば何でも経費計上して良い」というのではなく、前述の社有車の一例のように、実態としても法人の事業に必要な支出が経費として認められるのは変わりはないので留意して下さい。

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