【選んで節約】インボイス開始時の消費税計算は慎重に選択を

2種類の計算方法

消費税には2種類の計算方法があり、条件を満たす事業者は、「原則課税」と呼ばれる方法と「簡易課税」と呼ばれる方法から有利な方を選んで消費税を計算することができます
インボイス制度の開始をきっかけに消費税を納めることになる方は、この有利選択ができることが通常ですので、事前にどちらを選択するか検討してからインボイス制度の開始を迎えることが、損をしないために必要です。

まずは、「原則課税」と「簡易課税」のイメージをつかんで頂くべく、本稿では、できる限り要点を絞って解説していきます。

原則課税

原則課税はその名の通り、消費税の原則的な考え方に基づいた計算方法で「貰った消費税」から「払った消費税」を引いた金額を納付額とする方法です。

(事例)税抜100円で仕入れたものを税抜200円で販売した場合

上図の場合、貰った消費税は20円、払った消費税は10円ですので、納付金額は(20円 ー 10円=10円)になります。
考え方自体は非常にシンプルなのですが、実際には無数の細かい留意点があり、その計算方法は非常に複雑です。
例えばですが、事項で挙げるような留意点があります。

消費税の留意点

  • 消費税の課税対象とならない取引がある
    • 例えば、「給料」や「居住用住宅の家賃」などは消費税の課税対象ではないので、支払があっても「払った消費税」に含まれません
  • 消費税の課税対象となる取引(支払)があっても、控除できない場合がある
    • 例えば、「消費税を貰った売上」の割合が少ない場合、控除できる消費税が少なくなることがあります。また、インボイス制度の開始後、免税事業者に支払った消費税相当分も控除が制限されます
  • 輸出売上は消費税が免除されるが、消費税の控除が受けられる
    • この結果、輸出が多い事業者は、消費税が還付されるケースも比較的多く見られます

上記はほんの一例で、他にも数多くの詳細な決まりがあります。
インボイスの開始に合わせて、より多くの事業者が消費税申告の必要に迫られることが予想されますが、税負担だけでなく、この複雑な申告の事務負担を徴税側が事業者に負担させて良いのだろうか・・・会計・税務に携わるものとして複雑な思いでいるのが正直なところです。

簡易課税

消費税は「貰った消費税」から「払った消費税」を引いて金額を納付額とすることが基本考えとご説明しました。
一方、簡易課税は「貰った消費税」に着目し、「払った消費税」は(実際にどうであるかに関わらず)一定額とみなして納付額を計算する方法になります。

(事例)税抜100円で仕入れたものを税抜200円で販売した場合

上図の場合、貰った消費税は20円、払った消費税は(製造業の場合)貰った消費税の70%とみなすので、納付金額は(20円 ― 14円=6円)になります。
勘の良い方なら気づかれる方もいますが、実際に支払った消費税がこのみなし額より多いのであれば、「原則課税」を選択すべきですし、少ないのであれば「簡易課税」の方が有利になることになります。

インボイス制度の開始までにすべきこと(まとめ)

  • インボイス制度の開始以降、新たに消費税の納付が必要となる事業者は「原則課税」「簡易課税」のどちらが有利になるか、事前に検討し、選択する必要
  • 消費税は独特な計算上のルールがあり、「原則課税」「簡易課税」のどちらを選択するにしても、自社に影響のある計算ルールの理解・把握が必要